第一種電気工事士の実務経験、3年の数え方
第一種電気工事士免状の交付には、原則として3年以上の実務経験が必要です。数字だけ見ると単純ですが、実際に証明書を作る段になると「3年は連続していないといけないのか」「今の会社に入る前の工事は数えられるのか」「維持管理の仕事は実務経験に入るのか」といった疑問が出てきます。ここでは、都道府県が公表している実務経験証明書の記載要領をもとに、何が3年に数えられ、何が数えられないかを整理します。
3つのルートと必要年数
第一種電気工事士免状は、次のいずれかのルートで交付要件を満たすと申請できます。多くの人が使うのは(1)です。
| ルート | 必要な実務経験 | 起算点 |
|---|---|---|
| (1)第一種電気工事士試験に合格 | 3年以上 | 試験合格の前後を問わず通算できる |
| (2)電気(事業)主任技術者免状を取得 | 5年以上 | 主任技術者免状の取得後 |
| (3)高圧電気工事技術者試験に合格 | 3年以上 | 同試験の合格後 |
(3)の高圧電気工事技術者試験は現在は実施されていない過去の試験です。現役で申請する人のほとんどは(1)か(2)に該当します。以下は主に(1)のルートについて説明します。
3年は「連続」ではなく「通算」でよい
実務経験証明書には、勤務先ごとに複数の期間を記入する欄と、それらを合算した「通算期間」を記入する欄があります。つまり途中で転職していても、それぞれの勤務先が証明書を発行できれば、期間を合算して3年に届かせることができます。ブランク(無職期間や、対象外の業務についていた期間)があっても、その部分を除いて合算すればよく、3年間ぶっ通しで同じ現場にいる必要はありません。
ただし、勤務先が複数にわたる場合は1つの証明書にまとめてもらうことはできず、事業者ごとに証明書を1枚ずつ作成してもらう必要があります。すでに退職した会社に依頼することになるケースもあるため、早めに連絡しておくと申請時にあわてずに済みます。
何が実務経験に数えられるか
数えられる工事は、従事した電気工作物の区分と、そのとき自分が持っていた資格の組み合わせで決まります。
| 工事の区分 | 数えられる条件 |
|---|---|
| 一般用電気工作物等(600V以下で受電する住宅・店舗など)の工事 | 第二種電気工事士免状を取得した後に従事した分のみ |
| 簡易電気工事(600V以下で使用する500kW未満の自家用電気工作物) | 認定電気工事従事者認定証を取得した後に従事した分のみ |
| 500kW以上の自家用電気工作物の工事 | 電気主任技術者の監督・指導の下であれば、無資格でも従事した分が数えられる |
| 電気事業用電気工作物の工事 | 数えられる |
この表からわかる重要な点は、「第二種電気工事士として働いた期間」が実務経験のカウント開始点になるということです。第二種電気工事士免状を取る前にアルバイトや見習いとして工事に携わっていたとしても、その期間は算入されません。
実務経験に数えられない代表例
特に誤解されやすいものを挙げます。
- 電気工作物の維持・管理・運用業務 ── 試験合格者として申請する場合、点検や維持管理の仕事は工事ではないため実務経験に含まれません(電気主任技術者免状取得者として申請する場合は含められます)。
- 電気工事士法施行令が定める軽微な工事 ── ソケットやスイッチへのコード接続、電気機器の端子への電線のねじ止め、電力量計・電流制限器・ヒューズの着脱、電柱の設置や変更など。
- ネオン工事・非常用予備発電装置工事などの特殊電気工事 ── これらは別の特種電気工事資格者の領域です。
- 電圧5万V以上の架空電線路の工事、保安通信設備の工事。
- 工場での電気製品の組立・修理、車両・船舶・自動車の電気工事、電圧30V未満の工事。
迷いやすいのは1点目です。「電気の仕事を3年している」ことと「実務経験として認められる工事に3年従事している」ことは同じではありません。設備の巡回点検や運転管理が中心の業務についている場合、試験合格者ルートでは実務経験が積み上がっていない可能性があるため、早めに担当業務の内訳を確認しておくことをすすめます。
証明書を作るときの注意
- 証明者は原則として事業者の代表者です。支店長や工場長など代表者以外が証明する場合は、代表者からの委任状が必要になることがあります。
- 電気工事業の登録・届出をしている事業者が証明する場合、証明書には登録(整理)番号の記入が求められます。これは電気工事士免状の番号とは別物なので、書類を取り違えないよう注意してください。
- 都道府県によっては、正式な申請の前に実務経験証明書の内容を事前確認できる相談窓口を設けています。記入漏れによる差し戻しを避けたい場合は、申請前にこうした窓口を使えないか確認するとよいでしょう。
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