電線管の占積率チェック
電線管の内径と、そこに収める電線の外径・本数を入れると、電線の総断面積・管の断面積・占積率[%]がその場で出ます。上限値はお使いの規程・社内基準の数値を入力して判定してください。
入れるのは「内径」と「仕上がり外径」です
管は呼び径や外径ではなく内径を、電線は導体径ではなく被覆を含んだ仕上がり外径を入れてください。どちらも取り違えると占積率が大きくずれます。値は使用する製品のカタログ・仕様書で確認してください。
占積率とは何か
占積率は、電線管の内断面積に対して、中を通る電線の断面積が占める割合です。管を輪切りにしたときに、どれだけ埋まっているかを表します。
占積率[%] = 電線の総断面積 ÷ 管の内断面積 × 100
それぞれの断面積は、円の面積として計算しています。
電線1本の断面積 = π × (仕上がり外径 ÷ 2)² 管の内断面積 = π × (内径 ÷ 2)²
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| D | 電線管の内径 | mm |
| d | 電線の仕上がり外径(被覆込み) | mm |
| n | その外径の電線の本数 | 本 |
複数の種類の電線を混在させる場合は、種類ごとに n × π × (d ÷ 2)² を求めて合計します。本ツールの「電線の種類を追加」は、この合計をそのまま行っています。
断面積で見る意味
本数で数えるのではなく断面積で見るのは、太い電線1本と細い電線数本では管を埋める度合いがまったく違うためです。外径が2倍になれば断面積は4倍になります。1段太い電線に変えたときの影響は、直感よりずっと大きいと考えてください。
なぜ占積率を制限するのか
管に電線を詰め込みすぎると、次の3つの問題が同時に起こります。
- 引き入れ時に被覆を傷める — 隙間が少ないほど引き入れ張力が跳ね上がり、電線どうし・電線と管内壁がこすれます。曲がりが多い経路ほど顕著で、被覆に傷が入れば絶縁不良や地絡の原因になります。施工直後は異常なくても、後から不具合として表面化するのが厄介な点です。
- 熱がこもる — 電線は通電すると発熱します。管の中で密集していると内側の電線ほど熱が逃げず、温度が上がります。温度上昇は絶縁物の寿命を縮め、許容電流そのものを下げる方向に働きます。管内の電線本数が増えるほど1本あたりに流せる電流を下げて考える必要があるのは、このためです。
- 将来の増設・更新ができなくなる — 満杯の管は、1本足すことも、1本入れ替えることもできません。改修時に管ごと敷設し直すことになり、費用も工期も跳ね上がります。余裕は無駄ではなく、将来の工事費の先払いを避けるための投資です。
上限値をこのツールが持っていない理由
占積率の上限として実務で一般に用いられている数値(管内の電線本数や、同一サイズか否かによって値が分かれます)は、内線規程をはじめとする民間規格に示されているものです。民間規格は著作物であり、本サイトでは数値の転載を行っていません。同じ理由で、呼び径ごとの内径表も掲載していません。
そのため本ツールは、上限値と内径を利用者ご自身に入力していただき、計算と比較だけを行う作りにしています。適用すべき数値と、その適用条件(管の種類、電線が同一サイズかどうか、屈曲の有無など)は、内線規程の原本、管メーカーの技術資料、またはお勤め先の設計基準で確認してください。
占積率を満たしても終わりではありません
管に収まることと、その電線に必要な電流を流せることは別の話です。管内に複数回路をまとめると電流減少係数がかかります。電線サイズは許容電流と電圧降下の両方を満たしたうえで、最後に管に収まるかを確認する順序で考えてください。
占積率が上限を超えたときの打ち手
- 管を1サイズ上げる — 最も素直。内径が1.2倍になれば断面積は約1.44倍になり、効き方は大きいです。
- 管を分ける — 回路を2本の管に振り分けます。放熱の面でも有利になります。
- 電線の構成を見直す — 単線からより線(外径が変わります)へ、あるいは多心ケーブル1本にまとめるなど。ただし電線種別を変えると許容電流の前提も変わるので、そこから計算し直してください。
ご利用にあたって
本ツールの計算結果は参考値です。実際の設計・施工にあたっては、必ず電気工事士等の有資格者が、
電気設備の技術基準の解釈
をはじめとする根拠規程の原本で確認してください。本サイトは計算結果および利用によって生じた損害について責任を負いません。