接地工事の種類と接地抵抗の判定

接地工事の種類と実測した接地抵抗値を入れると、その条件で許される上限値と、実測値が基準内かどうかがその場で出ます。漏電遮断器による緩和にも対応します。

接地抵抗値の上限

Ω

判定
上限までの余裕
主な適用対象
根拠
「0.5秒以内」は漏電遮断器が付いていれば自動的に満たされるものではありません 緩和の条件は、電技解釈第17条が定める「低圧電路に地絡を生じた場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施設するとき」です。時延形など動作時間の長い機種では条件を満たさない場合があるため、施設した装置の動作時間を必ず仕様で確認してください。

そもそもなぜ接地するのか

接地(アース)は「感電しないためのもの」と説明されがちですが、実際にはもう少し広い役割を持っています。大きく3つです。

2つめが特に重要です。接地抵抗が規定値より高いと、感電時の対地電圧が下がりきらないだけでなく、地絡電流が小さくなって保護装置が動かない、という二重の危険が生じます。接地抵抗値に上限が定められているのはこのためです。

接地工事は4種類ある

電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)第17条「接地工事の種類及び施設方法」で、接地工事はA種・B種・C種・D種の4種類に分けられ、それぞれ接地抵抗値の上限が定められています。

種類接地抵抗値の上限緩和
A種10 Ω以下
B種変圧器の高圧側又は特別高圧側電路の1線地絡電流のアンペア数で、150(条件により300・600)を除した値[Ω]以下
C種10 Ω以下0.5秒以内に自動遮断する装置を施設するとき 500 Ω以下
D種100 Ω以下0.5秒以内に自動遮断する装置を施設するとき 500 Ω以下

出典:電気設備の技術基準の解釈 第17条

どの機器にどれを施すのか

「種類の選び方」は第17条ではなく、別の条文で決まります。機械器具の金属製の台および外箱については電技解釈第29条「機械器具の金属製外箱等の接地」が、使用電圧の区分ごとに施すべき接地工事を定めています。

機械器具の使用電圧の区分接地工事
低圧 300 V以下D種接地工事
低圧 300 V超過C種接地工事
高圧又は特別高圧A種接地工事

出典:電気設備の技術基準の解釈 第29条(29-1表)

B種だけは性格が異なります。B種は機器の外箱に施すものではなく、高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路とを結合する変圧器に施すものです。これは電技解釈第24条「高圧又は特別高圧と低圧との混触による危険防止施設」で規定されており、施す箇所は低圧側の中性点(300 V以下で中性点に施し難いときは低圧側の1端子、低圧電路が非接地の場合は混触防止板)とされています。

つまり実務上の整理はこうなります。

B種の抵抗値が固定値でない理由

A種・C種・D種は「10 Ω」「100 Ω」のように数値が直接書かれていますが、B種だけは計算で求めます。条文が定めているのは次の形です。

R = (150 または 300 または 600)÷ Ig

Ig は変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の1線地絡電流[A]です。分子が3通りあるのは、高低圧混触によって低圧電路の対地電圧が150 Vを超えた場合に、高圧側電路を自動的に遮断する装置の遮断時間によって変わるためです。

高圧側電路を自動遮断する装置の条件分子
下記以外の場合150
1秒を超え2秒以内に自動的に遮断する装置を設けるとき300
1秒以内に自動的に遮断する装置を設けるとき600

出典:電気設備の技術基準の解釈 第17条(17-1表)

考え方は単純で、すばやく遮断できるなら、電位が上がっている時間が短いので、接地抵抗は高くても許されるということです。逆に遮断が遅いなら、抵抗を下げて電位そのものを抑えるしかありません。

本ツールはB種の上限値を自動計算しません 1線地絡電流 Ig は電線路の種別・こう長・こう長あたりの対地静電容量などから求める値で、条文とは別に算出方法が定められています。また実務では電力会社から提示された値を用いるのが通例です。これを本サイト側で仮定して数値を出すと、誤った値を断定することになります。B種を選んだ場合は上限値を表示せず、式のみを提示します。実際の判定は、電力会社から提示された Ig と電技解釈の原本で確認してください。

C種・D種が500 Ωまで緩和される意味

C種の10 Ω、D種の100 Ωは、現場によっては土質の関係で達成が難しいことがあります。そこで電技解釈第17条は、低圧電路に地絡を生じた場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施設するときは、いずれも500 Ω以下でよいとしています。

理屈は先ほどのB種と同じで、「電位が上がっている時間の短さ」で「電位の高さ」を補う考え方です。人体への危険は電圧の大きさだけでなく、それが加わっている時間にも左右されるためです。

注意したいのは、これは「漏電遮断器が付いていれば500 Ωでよい」という規定ではない点です。条文の要件は遮断装置の動作時間が0.5秒以内であることです。一般的な高速形の漏電遮断器は十分に速い一方、選択遮断のために動作を遅らせた時延形では条件を満たさないことがあります。緩和を適用するなら、その回路に実際に施設されている装置の動作時間を仕様書で確認してください。

測定値が上限ちょうどのとき

条文の書き方は「〇〇Ω以下」です。したがって上限値ちょうど(D種で100.0 Ωなど)は規定内です。本ツールもその通りに判定します。ただし接地抵抗は季節や土壌の乾湿で変動するため、実務では上限ぎりぎりを狙わず余裕をとるのが一般的です。

接地工事を施したものとみなされる場合

電技解釈第17条には、C種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が10 Ω以下である場合はC種接地工事を、D種の場合に100 Ω以下であるときはD種接地工事を、それぞれ施したものとみなす旨の規定があります。鉄骨造の建物などで問題になる規定ですが、適用にあたっては条文の要件を原本で確認してください。

あわせて確認すること 接地は電路の設計と切り離せません。電線サイズを決めるときは許容電流電圧降下の両方を確認してください。
ご利用にあたって 本ツールの計算結果は参考値です。実際の設計・施工にあたっては、必ず電気工事士等の有資格者が、 電気設備の技術基準の解釈 をはじめとする根拠規程の原本で確認してください。本サイトは計算結果および利用によって生じた損害について責任を負いません。