幹線サイズ選定(許容電流+電圧降下)
電線の太さは「許容電流」と「電圧降下」の両方を満たす必要があります。このツールはその2つを別々に計算し、それぞれの最小サイズと、最終的な採用サイズ、そしてどちらの条件で太さが決まったのかを同時に表示します。
こう長は「片道」で入れてください
往復分は電圧降下の計算式の係数側に織り込まれています。往復距離を入れると電圧降下が2倍に出て、必要以上に太い電線を選ぶことになります。
なぜ2つの条件を見るのか
電線の太さを決める条件は、性質の違う2つがあります。
- 許容電流(安全の条件)— 電線が発熱で傷まないか。超えると絶縁劣化から火災に至ります。こう長には関係しません。
- 電圧降下(性能の条件)— 負荷端で必要な電圧が確保できるか。超えると機器の出力低下や始動不良が起きます。こう長が長いほど不利になります。
短い回路では許容電流で決まり、長い回路では電圧降下で決まる、というのが大まかな傾向です。どちらか一方だけを見て選ぶと、必ずどこかで外します。このツールが2つを並べて表示しているのはそのためです。
1. 許容電流から決める
補正後の許容電流 = 基準の許容電流 × 電流減少係数 ≧ 負荷電流
基準の許容電流は電技解釈第146条の値(周囲温度30℃以下)を使い、同一の管に収める電線本数に応じた電流減少係数を掛けます。3本以下で0.70、4本で0.63と下がっていきます。管に入れた時点で表の値の7割しか流せない、という点を落とさないでください。係数が必要な理由と本数ごとの値は電線の許容電流と太さ選定で詳しく扱っています。
2. 電圧降下から決める
電圧降下の簡易式を、断面積について解いた形で使います。
A ≧ K × L × I ÷ (1000 × e) e = 使用電圧 × 許容降下率 ÷ 100
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| A | 必要な電線の断面積 | mm² |
| L | こう長(片道) | m |
| I | 負荷電流 | A |
| e | 許容できる電圧降下 | V |
| K | 配線方式で決まる係数(単相2線式35.6/三相3線式30.8/単相3線式17.8) | — |
求まった断面積はたいてい半端な値になるので、それ以上でいちばん近い規格サイズに切り上げます。式そのものの解説と、降下率を単独で確認したい場合は電圧降下の計算へ。
3. 支配条件を見る
2つの結果のうち太いほうが採用サイズです。そして採用サイズを決めたほうの条件が支配条件です。これが分かると、サイズを下げたいときの打ち手がはっきりします。
| 支配条件 | 細くするための打ち手 |
|---|---|
| 許容電流 | 同一管内の本数を減らす/管を分ける(減少係数が上がる) |
| 電圧降下 | こう長を詰める/盤を負荷寄りに移す/使用電圧を上げる |
とくに電圧が支配条件のとき、100Vを200Vにできれば効果が大きいです。同じ電力なら電流が半分になるため、必要断面積も半分で済みます。
このツールが見ていないこと
- 過電流遮断器との組み合わせ — 電線を保護するブレーカの定格との関係は電技解釈で別に定められています。本ツールは電線側のみの判定です。
- 周囲温度30℃超の補正 — 電技解釈の許容電流は周囲温度30℃以下が前提です。天井裏や屋外盤内など高温になる場所では追加の補正が必要ですが、その係数は民間規程由来のため本サイトでは扱っていません。
- 短絡電流に対する保護 — 短絡時の熱的強度からくる最小断面積の検討は含みません。
- 降下率の目標値そのもの — 何%に収めるべきかは民間規程や社内の設計基準で定められています。入力欄の初期値2%は入力例にすぎません。
関連ツール
電線の許容電流と太さ選定(許容電流だけを詳しく見る)/
電圧降下の計算(サイズを決め打ちして降下率を確認する)
ご利用にあたって
本ツールの計算結果は参考値です。実際の設計・施工にあたっては、必ず電気工事士等の有資格者が、
電気設備の技術基準の解釈
をはじめとする根拠規程の原本で確認してください。本サイトは計算結果および利用によって生じた損害について責任を負いません。