電線の抵抗と導体断面積の計算
材質・長さ・断面積を入れると、その電線が持つ抵抗値[Ω]が出ます。電圧降下や発熱の元になっている「電線そのものの抵抗」を、抵抗率の式から直接確かめられます。
この計算は何をしているのか
電線には、材質と太さで決まる「電流の流れにくさ」があります。これを抵抗率といい、電線の抵抗は次の式で求まります。
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| R | 電線の抵抗 | Ω |
| ρ(ロー) | 抵抗率(材質で決まる) | Ω・mm²/m |
| L | 電線の長さ | m |
| A | 電線の断面積 | mm² |
長さに比例して抵抗は増え、断面積に反比例して抵抗は減ります。長い電線ほど、細い電線ほど、電流を流しにくいということです。電圧降下の計算で使っている係数も、この抵抗の考え方から導かれています。
抵抗率の根拠
抵抗率は電線の材質そのものが持つ物理的な性質で、国際的に定められた基準値を使います。
| 材質 | 抵抗率(20℃) | 根拠 |
|---|---|---|
| 軟銅線 | 1.7241×10⁻⁸ Ω・m(=約 1/58 Ω・mm²/m) | 国際標準軟銅(IACS:International Annealed Copper Standard)を導電率100%とする基準値 |
| 硬アルミ線 | 約 2.83×10⁻⁸ Ω・m(=約 1/35 Ω・mm²/m) | JIS C 3108(電気用硬アルミニウム線)が規定する導電率61%IACSから換算 |
アルミ線の値は「61%IACS以上」という規格上の下限から換算した目安です。実際の製品はメーカーや規格(軟アルミ線・鋼心アルミより線など)によって導電率が異なるため、設計に使う場合は製品のデータシートで実測に近い値を確認してください。本ツールの初期値は、あくまで一般的な目安です。
屋内配線でアルミ線がほとんど使われないのは、同じ抵抗にするにはアルミのほうが太い断面積が必要になること、また銅に比べて端子部がゆるみやすい性質があるためです。アルミ線は主に、軽さが有利になる架空電線(送配電線)で使われています。
温度が上がると抵抗も上がる
上の表の値は20℃における抵抗率です。電流が流れて電線の温度が上がると、金属の抵抗はわずかに増加します。本ツールは常温(20℃)を前提とした計算値である点に注意してください。許容電流と電線の太さは、この発熱を踏まえて安全に流せる電流の上限を扱っています。
電圧降下との関係
電流I[A]が流れている電線では、抵抗RによってE = I × R[V]の電圧が失われます。これがIR降下(電圧降下)の正体です。上の「流れる電流」欄に値を入れると、この電線1本ぶんのIR降下を表示します。ただし行き帰り2本ぶんの降下や、配線方式による係数までは含めていません。回路全体の電圧降下率まで判定したい場合は電圧降下の計算、許容電流と電圧降下の両方から最小サイズを決めたい場合は幹線サイズ選定をお使いください。