電動機の同期速度とすべりの計算
電源周波数と極数を選ぶと、三相誘導電動機の同期速度Ns[min⁻¹]がその場で出ます。銘板や測定で分かっている実回転数を入れれば、すべり[%]もあわせて計算します。
すべりの正常範囲は機種で変わります
ここでの判定はあくまで一般的な目安です。負荷の大きさや電動機の設計によって定格すべりは変わるため、最終判断は銘板記載値やメーカー資料で確認してください。
この計算は何をしているのか
三相誘導電動機の内部では、電源の三相交流によって「回転磁界」という、実際には物が動いていないのに見かけ上ぐるぐる回っている磁界が作られます。この回転磁界の速さが同期速度Nsです。誘導電動機のロータ(回転子)は、この回転磁界に引きずられる形で回りますが、磁界に完全には追いつけず、わずかに遅れて回転します。この遅れがすべりです。
Ns = 120 × f ÷ P
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| Ns | 同期速度(回転磁界の速さ) | min⁻¹ |
| f | 電源周波数 | Hz |
| P | 電動機の極数 | — |
| 120 | 1分=60秒と、磁界が1周期で2/P回転することから決まる定数 | — |
すべりは、同期速度Nsと実回転数Nの差を、同期速度に対する割合で表します。
s = (Ns − N) ÷ Ns × 100
極数と回転数の関係
同期速度は周波数に比例し、極数に反比例します。同じ50Hzでも、2極なら3000min⁻¹、4極なら1500min⁻¹、8極なら750min⁻¹と、極数が増えるほど同期速度は遅くなります。用途に応じて速く回したいか、トルクを出したいかで極数の異なる電動機が選ばれます。
すべりが生じる理由
もしロータが回転磁界と完全に同じ速さ(すべり0%)で回ってしまうと、ロータ側の導体を磁界が横切らなくなり、誘導電流が流れなくなります。誘導電流が流れなければトルクも発生しません。つまり誘導電動機は、多少の遅れ(すべり)があるからこそ、その差によって電流とトルクを生み出す仕組みになっています。無負荷に近いほどすべりは小さく、負荷が大きくなるほどすべりも大きくなる傾向があります。
実務での使い道
- 銘板の確認 — 銘板に記載された定格回転数から、その電動機の極数や設計上のすべりを逆算して確認できます。
- インバータ設定 — インバータで周波数を変えると同期速度も比例して変わるため、目標の回転数から必要な周波数を見積もる際の基礎になります。
- 異常判定の目安 — 実測した回転数から出したすべりが、銘板記載の定格すべりから大きくずれている場合、過負荷や電圧異常など何らかの要因を疑うきっかけになります。あくまで目安であり、断定的な故障診断には使えません。
あわせて確認すること
電動機の入力側の電力・電流を確認するなら三相・単相の電力と電流をお使いください。
電動機がある回路の幹線太さを検討するなら電動機がある場合の幹線太さで始動電流を踏まえた選定ができます。
ご利用にあたって
本ツールの計算結果は参考値です。実際の設計・保守にあたっては、必ず電気工事士等の有資格者が、
電気設備の技術基準の解釈
をはじめとする根拠規程や電動機メーカーの資料の原本で確認してください。本サイトは計算結果および利用によって生じた損害について責任を負いません。